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ベルーガ

ベルーガとは?

 

ベルーガ(シロイルカ)は北緯50度以北、北極圏に生息するイルカで、「成長につれて脱皮する」「頭部を比較的自由に動かせる」「口をすぼめたり表情が豊か」等、他のイルカには無いユニークな特徴を持っています。また、様々な鳴き声を発することで知られ「海のカナリア」とも言われます。

最大体長は、オスで5.5m、メスで4.1mで、、同じく北極圏に暮らす「イッカク」と同様に背ビレはありません。その理由は、氷の下を泳ぐための適応だろうと言われています。また、体色は新生児の時の濃灰色から成長につれて白色に変化することが知られており、他のイルカに比べてサイズが大きいことと白い体色から、英語では「ホワイトホエール」と呼ばれています。能取湖で初めて目撃された頃、漁師さんの間では「白いクジラを見た」と話題になっていたそうなのですが、その言い方は、まんざら的外れではなかったと言えましょう。

他の特筆すべき特徴としては、「エコーロケーション」に使われる「メロン」(頭の額の部分)が、他の種より柔らかく、成長と共に前に突出してくることが挙げられます。また、餌は魚類、軟体動物、無脊椎動物などと幅広く、中でも、海底の小動物については、口をすぼめて吸い上げる方法で採食しているといわれています。

現在、総個体数は10万頭程とされていますが、1800~1900年代には捕鯨対象となり、絶滅の危機にさらされた時期もありました。生息域としては最も南にあたるカナダのセントローレンス湾には1000頭程が生息していて、「ベルーガウォッチング」も盛んなのですが、化学汚染や船舶事故といった人間活動による悪影響が問題になっています。

 

「能取湖のベルーガ」は、現在、体長2.6m、メスで、歯が生え始めていることから子供と推測されます。

NOTORO with Love

ハーミットドルフィンとは?

 

イルカは普通、「群れ」で暮らしているのですが、たまに、何らかの理由で群れから離れ、1頭だけで生活する「ハーミットドルフィン」と呼ばれるイルカが現れることがあり、日本では「離れイルカ」もしくは「はぐれイルカ」と呼ばれます。

近年では、西大西洋のタークス&カイコス諸島に棲む「ジョジョ」が有名で、日本では伊豆諸島の利島に現れた「ココ」が住民登録されニュースになりました。

日本におけるベルーガの目撃情報は、そのほとんどが1頭だけの個体なのですが、自ら人間との交流を求めてくる「離れイルカ」のベルーガとしては、2008年から2010年にわたって交流があった北海道・標津町の事例が唯一のものでした。

日本から一番近いベルーガの生息地は、ロシア極東のアムール川河口付近なのですが、ちょうど、オホーツク海へやってくる流氷の起点と重なることは偶然なのでしょうか。1000㎞以上離れた地からなぜ、どうやってやってきたのか、そしてどんな経緯で親とはぐれてしまったのか、興味はつきません。

「離れイルカ」は人間と親しくなるが故に、その運命を人間に左右されることが多いものです。

10年程前、カナダのバンクーバー島の入り江にすみつき「ルナ」と名付けられた1頭の子供のシャチが、その保護をめぐる人間サイドの利害関係のゴタゴタが長引くうちに、保護手段としてあった「船のスクリューにカバーをつける」ことが出来ず、結局そのスクリューに巻き込まれ死んでしまった、という悲しい事件もありました。

「能取湖のベルーガ」は2度、スクリューに巻き込まれる事故にあっています。

最初は昨年の10月末、尾ビレにひとすじキズがつきました。2度目は今年の4月末、背中に4すじえぐられたキズがつきました。幸い命に別状はなかったのですが、これ以上ベルーガを傷つけることの無いよう、気をつけながら見守ってゆきたいものです。

 

イルカが、人間に匹敵するほど複雑な「脳」をもっていることはよく知られています。

「陸の知性」人間に対し「海の知性」イルカ、と言われる所以です。しかし陸で暮らす人間にとって「海」は驚くほど未解明の世界。それは宇宙に対する知識よりはるかに情報が少ないと言われています。これからの地球環境を考えてゆく上で、「海」を知ることは極めて重要なポイントになるでしょう。その時、人間が「海の知性」イルカから学ぶことは少なくないはずです。

人間と真近にふれあえる「離れイルカ」は、そんな視点から見ても大切にしたい存在と言えるのではないでしょうか。

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